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Project Harmonia-08

Harmonia-08 の開発コンセプトなど
2014-02-28

さて、今回の Harmonia-08 のプロジェクトは、
小口径のフルレンジ・ドライバーを使用した密閉形のシステムをメインスピーカーに採用し、
メインスピーカー部での共鳴音を排除することで、全体としては、癖の無い素直な音を実現しつつ、
聴覚の鈍くなる低域の再生においては、両面バスレフのサブウーファーを採用することによって、
ローコストながら、超ワイドレンジな周波数特性と、癖の少ない、
モニターライクな音を実現しようというものです。

私は、常々、「小口径フルレンジ+サブウーファー」 というシステムは、
最小限の構成でワイドレンジが実現できるため、
非常に合理的かつ、コストパフォーマンスに優れる方式だと感じています。

スピーカー・システムには、様々なタイプのものがあり、
それぞれに特性的な偏りがあることから、得意とするジャンルも偏りがあります。

完全に、特性的な偏りを無くすことは、物理的な制限かあるので、原理的には不可能ですが、
比較的、偏りが少なく、どのようなジャンルも無難にこなせるスピーカーもあります。

しかし、その様なスピーカーは、その特性的中庸さから、特に得意とするジャンルも無いことが多く、
好きなジャンルの音楽を好きな音で聴きたいという要求には、応えられないこともままあり、
ジャンルと音の好みがはっきりした方には、物足りないものかもしれません。

この特性的な偏りの少ない、どのようなジャンルも無難にこなす万能スピーカーを、
性能的に高いレベルで実現するためには、それぞれの帯域に特化したユニットを複数使う、
マルチウェイ・システムということになります。

しかし、このようなタイプのマルチウェイ・システムの欠点として、
クロスオーバー周波数が、中域にもあるものが多いため、音階が変わると音色が変わるとか、
常識的なサイズでワイドレンジを実現するためには、能率を低くしなければならないので、
ダイナミックレンジが狭く、暗く沈んだ音色になりがちなことや、
全てのユニットにフィルターが必須になることから、
音の鮮度が低くなるなど、多くの弊害があります。

元々のソースのオーディオ信号は、一筆書きのできる波形ですが、
マルチウェイのシステムでは、この信号はその周波数に従い、フィルターによって一度分解され、
分解された信号は、それぞれのユニットに分配されます。

そして、周波数に従い分解された信号は、それぞれのユニットが再生を受け持ち、
それぞれのユニットの再生音は、リスナーの耳に到達するまでに、
一つの音として再び合成されますが、それぞれのユニットが再生する信号は、
フィルターによって位相が回転し、他のユニットの位相からずれてしまうため、
再生音に含まれる周波数の成分が変わらないとしても、再生された音の波形は、
元のソースの波形とは、全く違ったものになってしまうという弊害もあります。

これに対して、小口径フルレンジの長所として、
一つの振動板から音楽に必要なほとんどの帯域を再生できることから、
音階によって音色の変化が無い、又は少ないことや、
比較的 点音源に近くなることで、音像が小さく明確で、
音場感も良くなるなどのメリットもあります。

そして、信号をフィルターに通す必要が無いので、
音の鮮度が高く、フィルターによる位相の回転もないことから、
出力される波形も、比較的 元のソースの波形に近くなるという利点もあります。

また、振動系が軽いため、音楽にとって特に重要な中域でのトランジェント特性に優れますし、
再生できる最小音が小さい、つまり、微小信号の再生に優れることから、
能率が同じであれば、比較的 振動板の重い、口径の大きなフルレンジよりも、
相対的なダイナミックレンジが広くなり、解像度も高くなる傾向があります。

さらに、口径の割りに能率が高いものが多いので、明るく快活な音色の物が多く、
特に人の聴覚が最も敏感なボーカルの再生においては、
安価な小口径フルレンジが、高級なマルチウェイ・システムよりも、
音色の自然さやリアリティーにおいて凌駕することも多々あり、このような事実からも、
小口径フルレンジの基本的な性能の高さというものをうかがうことができます。

小口径フルレンジ・システムは、上記のような、根本的な素性の良さを持つ反面、
サイズ的な制約により、振動系の振幅が大きく取れないので、大音量再生には向かないとか、
振動板面積の小ささから、原理的に低音の再生に弱いという弱点があります。

しかし、大音量再生については、密閉型エンクロージャーと組み合わせることにより、
振動系の振幅が大きくなる低域において、振幅を抑えることで、ある程度 克服できますし、
低域の再生については、適当なサブウーファーと組み合わせることで克服できます。

今回の、プロジェクトは、上記のような小口径フルレンジの優位性を活かしつつ、
その欠点をである低音を、サブウーファーにより補うシステムということになりますが、
基本的な構成は、8cmフルレンジの逆ホーン方の密閉型システムをメインとして、
これだけでは不足するであろう低域を、 13cmの本格的なウーファーを採用した、
両面バスレフのサブウーファーによって補強し、小型でローコストながら、
広大な周波数レンジを実現しようというもので、品質においても、
8cmフルレンジドライバーが持つ、可能性の限界に迫るシステムでもあります。

Last Updated 2014-02-28

工事中


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