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Project Monolith-E Series

Monolith-E Series の開発コンセプトなど
2017-06-26

Monolith-E シリーズは、
私が長年研究してきた Back Loaded Horn (BLH) システムの集大成とも言える作品として、
そして、究極の小口径フルレンジ1発のシステム を目指して、開発したものです。

ちなみに、"Monolith" という名前は、
SF映画の名作、『2001年宇宙の旅』 に出てくる Monolith (モノリス)と同じものです。
ルックス的に、映画の モノリス に似ているという理由もありますが、
この映画の中で、モノリス が猿を人類へと進化させるような場面があることにあやかり、
スピーカーの Monolith も、BLH という方式のスピーカーを進化させるもの、
BLH が持つ音質的限界を、ブレイク・スルーするものになれば、
という希望のもとに、命名したものでもあります。

まず、Monolith-E シリーズは、
今まで開発した Monolith がそうであったように、
基本的に Dual BLH の構造を持ちます。
"Dual BLH "とは、従来の シングル BLH が持つ
原理的な欠点を解消し、さらに、
BLH が持つ音質的限界をブレーク・スルーすべく、
私の開発した BLH の新しい方式です。

Dual BLH について簡単に説明すると、
1つのエンクロージャー内に2本のホーンを設けて、
この2本のホーンの 長さや体積などを、適切な比率に設定することにより、
片方のホーンで生じる周波数特性上の ピーク や ディップ を、
もう片方のホーンで生じる周波数特性上の ピーク や ディップ によって相殺することで、
よりフラットな周波数特性と、より自然な音色を実現する方式です。

今までに、何種類かの Dual BLH エンクロージャーを開発しましたが、
従来のBLH に比べると、よりフラットな周波数特性と、より癖の少ない音色を実現しており、
従来の BLH とっては 比較的困難だった、モニターとしての使用に耐えうる正確性と、
BLH が持つ豊かな音楽性の両立を、可能にするものだと感じます。

そして、今回の Monolith-E シリーズ を開発するにあたり、
Dual BLH の性能と音質を、さらに、ブラッシュ・アップ し、
スピーカーとしての 完成度を高めるべく、"Extended BLH " という方式を、
私は新しく考案しました。

Extended BLH は、ホーンの最後の音道の進行方向に対して、
ホーンの開口部を、90度折り曲げた方向に開口させることにより、
スロート から 開口部 までの距離に違いを設けると共に、
開口部の形状により、スロートから開口部までの距離に応じて、
開口部における気流抵抗値に違いを設けることにより、
ホーンによって再生できる周波数帯域を拡大(Extend)し、
ホーンによって生じる周波数特性上のピークを低くできることから、
ホーン自体の再生機器としての性能を、
向上させることができる方式であると考えられます。

BLH を音響迷路として考えてみると、
一般的によく見られる、ホーンの進行方向と開口部の方向が同じ BLH の場合、
振動版前面とホーンの出力の位相が完全に同相になる周波数は、
ホーンの長さを L としたとき、
340/(2L) Hz の1点のみということになります。

それに対して、Extended BLH の場合は、
スロートに最も近い開口部までの長さを L1 とし、
スロートから最も遠い開口部までの長さをL2 としたとき、
振動版前面と同相で出力できる、ホーンの周波数帯域は、
340/(2L1) Hz から 340/(2L2) Hz までとなり、
普通の BLH に比べて、ホーンの再生帯域が広くなります。

もちろん、単なる方形の開口部であれば、
最もスロートに近い部分から、ほとんどの音圧が開放されてしまい、
ホーンによって再生できる周波数帯域も広くはならないので、
スロートに近くなるにしたがって、
開口部がすぼまる形状にすることにより、
スロートからの距離にう応じて、
開口部における気流抵抗値をコントロールする必要があります。

そして、ホーンの持つエネルギーは、体積に比例することから、
体積が一定の場合、ホーンの再生帯域が狭いとピークが高くなり、
再生帯域が広いとピークが低くなるという、一般的な傾向があります。
それゆえに、再生帯域が広くなる Extended BLH は、生じるピークがより低くなり、
よりフラットな周波数特性が得られるのです。
音色的にも、ホーンによって生じるピークが小さくなるにしたがって、
メガホン的な音色も影を潜めることから、
Extended BLH では、より自然な音色が得られます。

また、周波数特性上に高いピークがあると、
人間の聴覚の特性から、そのピーク以外の部分が聴こえにくくなるという、
「ブラインド効果」という現象が生じてしまいますが、
ホーンによって生じるピークを低くする工夫を、
それぞれのホーンに施すことで、ブラインド効果を抑制して、
聴感的にも、より解像度の高い BLH システムが可能になります。

Extended BLH は、音道と開口部が
一定の条件のもとにある場合にのみ可能になりますが、
Monolith タイプの Dual BLH では、
2つのホーンとも、たまたま この条件に当てはまるので、
今回、この仕組みを取り入れてみることにしました。
結果的に、Monolith-E シリーズで採用する方式は、
Dual BLH としても、新しい方式となるため、とりあえず、
"Dual Extended BLH " と命名することにいたします。


Monolith-E Series の構造など
2017-07-01

私の作る BLH エンクロージャーは、広い フロント・バッフル を備えたものが多いのは、
BLH という方式は、どちらかと言うと、
小口径ドライバー向けのものだと考えられるのが、理由の一つです。
というのは、小口径フルレンジ・ドライバーは、振動版面積の小ささから、
波長の長い音波(低周波音)の再生が難しく、
周波数特性的にハイ上がりになりやすく、冷たく人工的な音色になりがちですが、
広い フロント・バッフル を採用することで、振動版前面において負荷が掛かりやすくなり、
より長い波長(低い音)の音を再生できるようになることから、
ハイ上がりで冷たく人工的にな音色になりがちな小口径ドライバーの音に、
自然さや温かみを与えることができるのです。

しかし、一般的に、広い フロント・バッフル は、
比較的 強度が低く振動しやすいことから、
音像が滲みやすいという欠点があります。
Monolith-E シリーズ も、非常に広い フロント・バッフル を備えていますが、
ホーンの音道の部材が、フロント・バッフル に対して補強材として働き、
フロント・バッフル が非常に強靭で振動しにくいことから、
大きな フロント・バッフル の持つ欠点が生じにくい構造となっています。

下が、Monolith-E シリーズの内部構造です。

Monoloth-E シリーズは、2本のホーンを備えた Dual BLH ですが、
基本的に2重 スパイラル・ホーン 構造を採用し、
原理的に歪が多くなると考えられる180度の折り返しが、
ショート・ホーン側で1箇所、ロング・ホーン側で2箇所と、
極力 少なくなる音道構成としています。
というのは、180度の折り返しは、
90度の折り返しが、2つ繋がったものだと考えられるため、
180度の折り返し部分で発生する音の歪みは、
90度の折り返しで発生する歪みの2倍になると考えられるからです。

そして、180度の折り返し部分には清流板を配置して、
極力、スムーズで歪みの少ない音波の折り返しを心がけています。
90度の折り返し部分にも、清流板を設置すれば
さらにスムーズなホーン形状になりそうですが、
スロートに近い部分でホーン形状を滑らかにしすぎると、
ホーン内で高音が減衰しにくくなり、
高い周波数でも ホーン・ロード(ホーン負荷) が掛かりやすくなることから、
比較的 癖の多い音色になりがちなのです。
この辺りは、楽器と再生機器では、求められる特性に違いがあり、
BLH のホーンは、構造的に、ある程度 高域を減衰させる、
ハイ・カット・フィルター の機能が必要だと考えられます。

2つのホーンの出口である開口部は、エンクロージャーの対角、
エンクロージャー内の最も遠い位置に、配置されています。
2つの開口部を、できるだけ遠い位置に配置することによって、
片方の開口部から出力される音が、
もう片方の開口部から出力される、位相の違う音により相殺される量を、
極力 減らすことができることから、
お互いのホーンの再生効率を高めることができます。
これによって、ホーンの再生効率の上昇が可能となり、
より高能率なドライバーの採用も可能となります。

ショート・ホーン は上面に開口し、ロング・ホーン は側面に開口しています。
それぞれのホーンの開口部が、ドライバーから最も遠い位置にあることから、
音像が膨らむのではないかと想像されますが、実際の試聴においては、
低音には方向性が無い(人間の耳には低音の方向性を感知できない)ので、
音像が膨らんだり、音の定位がずれたりするようには感じられません。

2つのホーンの入り口である2つのスロートは、
空気室の対角、空気室内の最も遠い位置にあります。
これは、ドライバーの振動によって生じる空気振動が、
2つのスロートに均等に伝わりやすく、
なおかつ、片方のスロート付近での空気の挙動が、
もう片方のスロートにできるだけ影響しない位置であるため、
2つのホーンの独立性を、最も高くできる構造です。

ホーンの再生音の癖の少なさや、それぞれのホーンの独立性の高さに応じて、
空気室の容積を小さくすることができますが、
これによって、ホーンのトランジェント特性の改善や、
軟らかくなりがちな、ホーンの音色の改善にも寄与できます。

この空気質の構造も、2本のホーンの音道の構成も、
実は、Monolith の基本的なアイデアを思いついたときの最初のもので、
私としては、理想的な設計だと考えていますが、
Monolith-E 以前の Monolith では、設計的に なかなか上手くまとまらず、
Monolith-E シリーズ において、Extended BLH の構造を取り入れることによって、
やっと実現することができました。

以上のことから、Monolith-E シリーズのエンクロージャーは、
BLH としては、従来のものとは一線を画すものであり、
設計的にも構造的にも、非常に洗練された理想的なものだと思われますし、
小口径フルレンジ・ドライバーの性能と魅力を、
限界まで引き出す、優れた構造を備えたものではないかと、
自画自賛ではありますが、私は考えています。


Monolith-E Series の周波数特性など
2017-07-01

工事中


Last Updated 2017-10-17

工事中


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